日本人が、先進国の中でも英語を使いこなせていない理由について、いくつかお伝え出来ればと思います。これを参考に学習にも取り組んでいただければ幸いです。
まずは、英語にふれている量や経験が、圧倒的に不足しています。日本において、英語学習が本格的に始まる中学校と高校の6年間を全て合わしても、英語の本(ペーパーバック)で約110ページ分の情報量しかふれていません(各中学高校で使用している教科書にもよります)。これは、英単語の数ではなく、実際の文章量になりますので、いかに少ないかがイメージしやすいかと思います。学校での授業だけでは、英語学習のスタート地点に立ったに過ぎません。学生の方は、学校と並行して自主的に学習に取り組む必要があるのです。
帰国子女がなぜ英語が出来るのか?それは、英語圏での生活の過程で、莫大な量の経験を積む機会があるからです。苦戦しながらも自分自身の文章で何とか気持ちを伝える経験、実際の場で文法や単語がどのように使われているのかを観察する経験、大量の英文にふれてそれらをインプットする経験、こうした機会を増やして、初めて英語が出来るようになっていきます。
また、日本国内では、英語学習は楽しくなくてはいけない、という風潮が浸透し過ぎているように感じ取れます。勿論、どんなことでも楽しく学ぶことが出来れば一番です。しかし、これが妨げとなって、甘えや逃げが出てしまい、結果的に上記にあげたような練習量の不足に繋がってしまうことも少なくありません。ほんとうに英語を身に付けたいのなら、文法や地道な練習はなくてはならないものです。英語はどんな時でも楽しくなくてはならない、といったバイアス・先入観がある方は、こうした学習に対して積極的に取り組まないことが多いので、結果が出なく悩んでしまうことがあります。
英語とは言語であって、それは人と人とのコミュニケーションです。英語を学ぶことで、表現できることや理解できることが増えて、世界が広がることに繋がっていきます。それが楽しみのはずです。しかし、それに至る過程の勉強までも、全て楽しくなくてはならないというのは、難しい話になります。例えばスポーツでも、初めたばかりで遊びながら少しふれている程度なら楽しいけれど、本気でそのスポーツに取り組もうと思ったら、厳しい練習が待ち受けています。しかし、それを乗り越えた先には、本当の楽しさを感じることが出来るはずです。英語もそれと同じで、楽しくないことはやるべきではない、ということではなく、そういったことを避けずに少しずつ学習に取り組んでいって、これらも英語学習の一部として楽しみに加えることが出来れば、あなたの力となって返ってくると思います。